Vol.2_“品格”は、組織を成長させるコンセプトとなりえるか?(第1回/全4回)
こんにちは。本当に不定期な投稿になりそうな感じがしますが、皆さまお元気でしょうか。
2025年1月の事業開始から間もなく3ヶ月となります。
自分のやりたいことができる環境を通して、直接業務だけでなく間接業務・周辺業務の領域にも足を踏み入れており、そこでいろいろとつながっていくことを実感すると共に、すべてが学びになっていると感じます。
次のステージに向けて準備を進めていきたいと感じる今日この頃です。
組織の成長・活力に影響を与える管理職
さて今回は「管理職の品格」について考えていきます。
「人としての品格を疑うレベルの行動だなぁ」のような冗談交じりのニュアンス、聞いたことないでしょうか。管理職にもこれまで以上に明確に求められる時代になってきたのでは?、というお話です。
仕事柄、いろんな会社で様々な管理職の方々と接することがあります。これまでに出合った管理職の方を思い返してみると、尊敬できる・マネしたいと思う人もいれば、反面教師となる人もいました。いくつかご紹介しましょう。あらかじめ補足しておきますと、これからご紹介する人材は皆さんとても優秀な方です。
ある管理職は、部下に挑戦の機会を与える人でした。「大きな方針は示したので、あとは君たちに任せる」と、メンバーの自主性を尊重しました。ある営業先への提案では、「失敗するかもしれないと感じるポイントはあるけれど、自分でやってみなければわからないこともある。本番までしっかり考えてやってみて」と背中を押しました。結果、プレゼンはうまくいかず、提案内容もクライアントの質問や疑問に十分に対応できませんでした。しかしながらその管理職はメンバーを叱責することはせず、「相手の意図を十分理解できていたか?相手にどう伝わったか?」と静かに問いかけるのみでした。部下の経験を積むことを重視し、失敗を責めるのではなく、次に繋げる姿勢を貫いていました。
別の管理職はまったく対照的でした。開発系チームを率いる彼は気分屋なところがあり、メンバーに全面的に任せる時もあれば、強く介入してコントロールするときもあったり、機嫌次第で接し方が変わるタイプでした。また、メンバーに任せたといっても期待と違う成果が出ると態度を一変させ、「失敗するとわかっていて放置はできない」として現場に大きく干渉し、メンバーに厳しく接したりしていました。開発の現場では、限られたリソースの中で確実に成果を出すことが求められますが、リスクを最小限に抑え、確実にプロジェクトを進めることを優先する姿勢で組織を安定的に運営していました。
他のタイプの管理職もいました。コーポレートチームを率いる彼は、メンバーを思いやり負担をかけないようにするあまり、経営課題のうち当該チームが対応すべきアジェンダについて、本来はチーム全体で考えるべきところ、リーダー一人で考える決断をしました。具体的には、メンバーには通常業務に集中させ、経営アジェンダは彼自身が引き受けて対応していたのです。その結果、本人には大きなプレッシャーやストレスがかかることになりました。周囲からは「部下思いの良い人」という声が聞かれますが、一部の部下からは「この人のもとでは成長できない」との不満もありました。このタイプの管理職は責任感が強く着実にチームの業務を遂行するため、失敗を誘引する要因を極力なくし、確実性を高めることでチームの士気を維持し、組織を安定的に運営することを重視する姿勢を大事にしています。
念のためですが、これらの事例は管理職の優劣について述べたものではありません。管理職のふるまいや姿勢の違いが、組織への活力の与え方や成長の在り方に大きな影響を与えるか、ということです。今回はこの点を序論として提起してみました。
管理職に求められる資質のその先にあるもの
管理職には、一般の従業員とは異なる資質やスキルが求められます。しかし、単に業務を遂行する能力やマネジメントスキルが優れているだけでは、本当に優れた管理職とは言えないのではないでしょうか。そこでカギになるのが「品格」。
単純な例ですが、どれだけ業績を上げても、部下を見下し、責任を回避し、自分の利益だけを考える上司がいたらどうでしょうか。その人は「優れた牧羊犬(≒羊を動かそうとする存在)」ではあるかもしれませんが、「優れた羊飼い(≒羊自身が安心して動こうとする存在)」とは言えないと思います。
では、品格とは何なのか? 何となくニュアンスは分かる方は多いと思いますが、具体的に伝えられる、あるいは、伝わるでしょうか。(私もまだまだ自信ありません)
次回は品格とは何か、品格のある管理職とはどういう人なのか、といった点を中心に考えていきたいと思います。