Vol.1_”優秀”の定義

はじめに
こちらをご覧いただいている皆さま、はじめまして。
2025年1月から組織・人事領域を中心としたコンサルティング事業を開始いたしました。

リーダーシップ、マネジメント、コミュニケーション、人、経営その他に関する私たちの日々の気づき・学び・洞察などを記録し、共有できればと思い、このページを作成しました。ライトな感じで、かつ、不定期投稿になりますが、よろしければご覧ください。なお、文中の一部の内容は編集、または加工しており、実際の出来事や人物とは異なる場合がありますので、ご了承ください。

「優秀な人材」とは何か?
さて1回目は「優秀の定義」について考えてみたいと思います。

我々がご支援するプロジェクトの過程では、クライアントの役員・部長クラスに「貴社にとって優秀な人材とはどんな人ですか?」と伺うことがあります

その回答で共通して多いと感じるのが「会社の利益に貢献できる人」

言わんとすることはわかります。
結果を出すことはもちろん大事です。が、これだけでは「そりゃそうですよね」で終わってしまいます
つまりこれだと、優秀人材としての特性・特徴がいまいち伝わりません。

主体性の重要性
ですので、次に「会社の利益に貢献できる人ってどんな人ですか?」と聞いていきます。

そうすると、この問いに対する答えとして上位に来るのが「主体性/主体的な人材」

主体性とは、簡単にいえば、自ら考え自ら動く(自考自動)、ということ。とても大事な視点だと思います
もちろん、自己中心的に考えて、勝手に動くということではありません

ある会社のプロジェクトで、担当役員に今の社員の働き方は主体的と感じるか、と聞いてみました。すると
「うちの社員の多くは指示に沿ってどんどん進めていくことはできている。だけど、自ら発案し提案するまでできる人が少ない」といった回答が返ってきました。こういった回答は特定の業界・企業に限らず、共通的に多いように感じます

優秀の定義の2種類
話が少し逸れますが、そういったことを踏まえて、「会社が求める人材=自ら発案し提案できる人」と定義する事例はそれなりにあります。でも「指示に沿ってどんどん進めていくことはできる人材」も引き続き求めていくのでは??

さて話を戻すと、どうやら優秀の定義には2種類あるようです

①上(上司)からの指示や期待への対応が優れている
②外部(市場や顧客)に向けた課題の発見やその対応が優れている

①②の違いは、何だと思いますか?

そもそも①の延長は、②なのでしょうか?

①は上司の期待(=欲求)があったら動ける人です。極論すれば上司がどうしたいのか、という点に基づきます。
②は自分はどうしたいのか、という意思があります。その意思が外へ目を向けさせ、関心領域へのアンテナを張る、といった行動につながります。そういった行動の蓄積に基づき、降りてきた指示を咀嚼し、上司の指示よりも、より良いアプローチがあればそれを上司に提言しようとする行動につながるのでしょう。

育成課題の違い
というように掘り下げていくと、①と②の育成課題は異なるようです

①は上司の興味・関心を具現化する行動力が求められます

その反面、当人は外部への関心が低い、つまり時流・潮流の変化への感度が鈍くなりがちです。とすると、②を目指す場合、そのマインド・スキル双方の入れ替えは必須です。そう考えると、②は①の延長で考えることに無理があると思いませんか

多くの企業は②の人材の採用・配置・育成を通して確保を目指しています。ただしそのような人材は全体の何割くらい必要なのでしょうか。社員全員は②を目指すのは当然だとしても、現実の人材レベルはどうでしょうか。白けが発生しないような工夫も必要です

そして、組織・サービスの維持継続に目を向けてみることも必要です。①は日々の業務を問題なく続けていくうえで必要です。

これらの様々な背景・視点を踏まえ、優秀な人材や求める人材をどう定義づけるのか。
少なくとも経営者や担当役員は①②両面の視点で真剣に考えることが必要ではないでしょうか

単なる言葉遊びで終わらせず、例えば、”社内から見た優秀人材”と”社外から見た優秀人材”との違いはあるのか?それは何かを考える、そして、それぞれ優秀人材の育成課題や①から②への人材シフトを実現するための課題を設定する、これらを人材定義の段階から言語化する/伝えるアプローチは大事にすべきでは?と感じる今日この頃です